濃紺に染まる赤を追え。
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「……ご立腹だったよ」
職員室に書類を届けに行ってくれた堤くんが、席に座りながらそう告げた。
やっぱり、と呟くと堤くんにしては珍しくため息を吐いた。
「“豚まん”って、確かにそうだもんね」
「言い返しようがないから、先生も怒るしかないよな」
担任はあの発言に激怒したけれど、逃げ足の速い彼に負けてしまったようで。
怒りの持って行き場がなくなったのだろうか。
「桐谷のさぼりを見過ごすわけにはいかないとか言ってて」
「……え」
「うん」
嫌な予感とは、たいてい当たってしまうもの。
「……探しに行け、って」