濃紺に染まる赤を追え。



「ごめん、冗談。反応面白くて、つい」

「……はい?」


わけが分からず首を傾げれば、そっとリボンを付け直してくれる。

あまりにも桐谷の顔が近くにあって、挙動不審になっていると、またけらけらと笑い出す。


えっと、つまり、からかわれたってことか。


そう理解した途端、とても恥ずかしくなって、顔に熱が集まった。

きっとわたしは真っ赤だったんだろう、桐谷はさらに笑みを深める。


「いいね、純粋」

「……うっさい」

「うん、さすが学級委員って感じの反応」

「セクハラで訴えるよ」

「それは困るなー」


桐谷がそう妖艶に微笑んだあと、不意に切れ長の瞳と目が合った。

小首を傾げながらすっと細められたその瞳。

色気だだ漏れのその仕草に、目が泳ぐ。


「よっこ」

「……」

「よーっこ」

「……なに」


我ながら無愛想にそう呟くと、また余裕のあるような笑みを浮かべる。




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