濃紺に染まる赤を追え。
「……寝るの?」
「んー」
返事はとても適当なもので。
これは本気でお昼寝モードだ、と思いながら見つめていると、くいっと何かがわたしの手首を引っ張った。
驚いて目を向けると、中指にシルバーリングをはめた右手。
意味が分からず、桐谷に首を傾げれば。
「よっこも」
「え」
ゆっくりと引っ張るようにして倒された身体。
自然と視界は上がっていき、最終的に見えたのは青空。
そのまま頭を左に向けると、至近距離にあった桐谷の顔。
「……わっ!」
「ん、よし」
満足げに口元に弧を描き、瞳を閉じる。
どうやら、本格的に就寝するらしい。
とはいえ。
わたしを放置するのはやめていただけないだろうか。