濃紺に染まる赤を追え。





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「あー、無理無理無理無理」

「……なに」


単語帳を広げながらお弁当を食べようとしていると、ナミさんはやって来るなりそう言った。


「こんな時間も勉強とかまじ無理。つか優等生無理。テスト無理」

「……」


じゃあ一緒に食べなかったらいいじゃん、と言おうとするも、目の前でナミさんはチョコデニッシュの袋を開けていた。

またチョコデニッシュって、バランス偏り過ぎじゃないかな。

そう思うけれど口には出さずにただその様子を眺める。



「つか、テストとかなにまじで。それ美味いんですか状態なんですけどー」

「……」

「この前の再試とか最悪すぎたわ。蓮と一緒に再試受けたい女子ばっか。本気で勉強しろって感じ」

「……ナミさんは本気であの点数なの?」

「本気の一夜漬けの結果だけど。なに、あんた喧嘩売ってんの?」


そういうわけじゃないけれど、と呟きながらほうれん草を食べる。

バサバサのつけまつげが、またナミさんの頬に影を落としていた。


「あー、出会いが欲しい。ガチで出会い欲しい」

「そう」

「でも面倒くさい男はナシ。ついでに将来性ない男もナシ」

「へえ」


ナミさんでも将来性とか考えてるのか、とまた失礼なことを思う。





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