濃紺に染まる赤を追え。
そしてまたお弁当を食べようとお箸を持てば、感じた視線。
「……なに、ナミさん」
「んー」
一度考えるようにそう言って、そしてまた口を開く。
「あんた、やっぱりああいうのと合うと思うけど」
「ああいうの、って……堤くん?」
「そう、さっきの爽やか好青年」
頷き、わたしのお弁当から勝手にミニトマトを奪う。
最後に残しておいたのに、なんて苦情を抱きながらも、首を傾げる。
「付き合う気ないの」
「いや、堤くんはそういうのじゃないし」
「ふーん、あっそ」
赤い爪を携えた指が、ミニトマトを口に運んだ。
ナミさんの口に消えていくそれに、若干の名残惜しさを感じる。
「そういうのじゃない、か」
わたしの言葉をぼんやり、確認するように復唱する。
また教室の中央あたりが、わっと湧いた。