濃紺に染まる赤を追え。





しん、と静まり返った教室。



みんなが視線を向けているのを感じた。




わたしもそろっと、解答用紙から顔を上げる。





「あれ、なんか俺、めっちゃ見られてるね」





聞こえたのは、そんなテノール。











「……きりたに」




零れた声は、空気を微かに震わせた。





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