濃紺に染まる赤を追え。
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「あ、まじで蓮いるんだ」
ナミさんは教室に入って来るなり、そう言った。
今日もチョコデニッシュと雑誌を持っている。
「……ああ、うん」
わたしには関係ないけれど、というオーラを出しながら頷いてみる。
でも、それが上手くいったかどうかは分からない。
ふーん、と適当に返事をしながら堤くんの席に座るナミさんは、桐谷の周りの集団をガン見していた。
わたしはそんなナミさんをちらりと見て、お弁当の蓋を開ける。
桐谷は、なんだかんだで一限目からずっと教室にいた。
「ナミもう絶対あそこ近付きたくねーわ」
「最近まであそこにいたのに?」
「恐怖恐怖。肘で押されるし、足踏まれるし、まじ無理。まあナミは二倍返ししてたけどー」
そう言い、ナミさんはチョコデニッシュの袋を開ける。
毎度見慣れたパッケージのそれは、期間限定で点数シールが付いていて。
赤く塗られた爪で器用に剥がし、わたしの机の角に貼った。
え、そこに貼るの。
わたしの机なんだけど、と思いながらじっとその様子を見ていれば、視線に気付いたのかこっちを見たナミさん。