濃紺に染まる赤を追え。
「なに、あんたも集めてんの?」
「え、べつに」
「ふーん。これシール集めるだけで皿貰えんの」
それは企業の戦略だと思うけど、口には出さずミートボールを食べる。
って、違う違う。
わたしが言いたいのはそれじゃなくて。
「ナミさん」
「んあ?」
「なんでここに、……」
シール貼っているの、と言いかけた途端。
わっと湧いた教室。
何事かと思えば、わたしの対角線上の集団。
いまだに人が絶えず群がっているそこは、さっき見たときよりも明らか盛り上がっていた。
「蓮、今回赤点ないのっ!?」
甲高い、悲鳴のようなその声。
女の子たちの間からちらりと見えた桐谷は、頷いていたような気がする。