濃紺に染まる赤を追え。
わたしの机の角には、ナミさんが貼り付けた点数シールが、結局剥がされないままにしてある。
「……うん、あのさ」
もしかしてここに貼りっぱなしにするつもりじゃないよね。
そうだとしたら、無理にでも剥がさないと。
ぼんやりと机に貼られたシールを見つめて堤くんの次の言葉を待つ。
「松村」
「んー?」
窓の外で、野太い声が聞こえた。
野球部のランニングが始まったみたいだ。
「俺、松村のこと好きなんだ」
遅れるよ、堤くん。
そう、喉元まで出かけた言葉は引っ込んだ。