濃紺に染まる赤を追え。
呟くように言ったナミさん。
目の前に突き付けられていた雑誌は、力無く机の上に戻っていく。
ぱさりと乾いた音をたてながら閉じられた雑誌。
頬杖をついてわたしを見据え、ナミさんはまたぽつり、言葉を零していく。
「……言ったじゃん」
相変わらず教室は賑やかだ。
中央あたりのグループは、下着がどうのこうの、大声で談議をしている。
「やめといた方がいいって」
BGMとして流れているお昼の放送は、今日も昨日と同じ曲。
彼が好きだと言った、あの曲。
「本気になっても、虚しいだけだって」
空は青い。
彼は今、何をしているのだろうか。