黒十字、邪悪なり
見れば降ってきた死体は、彼だけではなかった。

渋滞している車のあちこちに、酷い外傷を負った者達が次々と落下してくる。

中には手足が欠損した遺体もあった。

惨たらしい姿となった屍。

一体何でこんな事に?

思わず会社員は車を降り、フロントガラスに落下した死体を恐る恐る見る。

まずは警察…いや救急車か。

上着のポケットに入れておいたスマホを取り出し、通話ボタンを押す。

数度のコール音。

なかなか電話は繋がらない。

この時は然して不思議にも思わなかった。

『何故110番通報がすぐに繋がらないのか』など。

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