黒十字、邪悪なり
似たような光景は、この都市のあちこちで繰り広げられていた。

突然現れた吸血鬼(ヴァンパイア)が見境なく街の人間を襲って吸血。

吸血された人間は、純潔の持ち主であれば吸血鬼化し、そうでなければ食屍鬼(グール)と化した。

そのグールがまた人間を襲い、グールに噛まれたり食い殺された者は、生ける屍(ゾンビ)へと変貌する。

約46万人の市民が、次々と化け物の犠牲となり、甦っては加害者となっていく。

1名が2名、2名が4名、4名が8名。

そうやって16、32、64、128、256とネズミ算式に増えていく不死者(アンデッド)。

この都市が死都となるのも、時間の問題だった。

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