黒十字、邪悪なり
……。

…………。

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………………………………。

「…………う…………」

薄暗い機体の中で、セシルは意識を取り戻す。

煙と、埃と、血の臭い。

上体を起こそうとすると、体中が痛んだ。

ビルの側壁に叩き付けられたものの、ヘリは運よく爆発せずにそのまま停止したらしい。

壁を突き抜け、ビルに突き刺さるような形のヘリ。

30名ほど搭乗していた怪異駆逐対策局の隊員達は、壁面に激突した衝撃で大半が即死したようだった。

頭部を激しくぶつけて死んでいる者、機体内部の突起物に体を串刺しにされて絶命している者、裂傷を負ったのか、内臓をはみ出させて死んでいる者。

様々だが、どれも見るに堪えない有様だった。

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