黒十字、邪悪なり
だがその隊員も、殆どが死亡してしまった。

まさか要救助者に辿り着く事もなく、作戦行動に移る暇もなく、ヘリごと全滅させられるとは。

「俺の責任だ。俺の化け物どもに対する認識の甘さが…」

「仕方ないですよマーフィ大尉。ヘリで移動中に襲われるなんて、誰も思いません」

自責の念に駆られるマーフィを、セシルが励ます。

それに、今は泣き言を言っている暇はない。

生き残った者達だけで、任務を続行しなければならないのだ。

「セシル兵曹長はゾロターンカスタムを持っているんだな…俺は…」

マーフィは大腿部のホルスターを確認する。

「グロック17と法儀式済9ミリ弾が幾らか…それと銀製のKA-BAR(ミリタリーファイティングナイフ)…」

自動拳銃とナイフだけでは心許ないが、贅沢は言っていられない。

あるものだけで、どうにかするしかないのだ。

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