黒十字、邪悪なり
セシルにも理解できる。

マーフィだって怖いのだ。

歴戦のアメリカ海兵隊員。

血の小便を流してまで厳しい訓練に耐え、どんな戦場にだって勇猛果敢に立ち向かう。

しかし、戦場では戦えても『地獄』では戦えない。

兵士相手に戦えても、『人間でないもの』とは戦えない。

人間は本能的に、理解の範疇を超えるものを恐れるようになっているのだ。

それは男だろうと女だろうと、一般人だろうと海兵隊員だろうと変わらない。

どんな武器を持っていようと、仲間と合流できようと、恐怖せずにはいられない。

恥ずかしい事じゃない。

人間として、それは自然な事なのだ。

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