黒十字、邪悪なり
「ボサッとしてんなよ」

床に這い蹲って咳込むマーフィを見ながら、邪悪はまた薄笑みを浮かべた。

「お前達、誰の前に立っているのか分かってるのか?一瞬も気を抜ける状況じゃないんだぜ?」

肩を揺らして笑いながら。

「今お前達の前に立ってるのは、『自身の死』そのものなんだぜ…?」

邪悪は底冷えのするような戦慄の笑みで、セシル達を見る。

「っ…!」

震え上がった。

先日の一戦が嘘のようだ。

ゾロターンカスタムさえあれば、邪悪といえども勝てない相手ではないと思っていた、あれは思い上がりだったのか。

セシルは恐怖に雁字搦めにされ、トリガーを引く為に指を動かす事さえできなかった。

< 133 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop