黒十字、邪悪なり
既に大災害級の混乱と破壊に見舞われた都市。

ライフラインは全て停止し、電気も通電していない。

エレベーターも停止してしまい、要救助者がいると思われる屋上には、階段で向かうしかなかった。

地上102メートルの超高層ビルを、階段で昇らなければならないのだ。

海兵隊員として鍛え上げたマーフィやセシルでも、楽な作業ではない。

時折階段の踊り場や空き部屋に潜んでいたアンデッドが姿を現し、交戦を余儀なくされる。

現れるのがゾンビやグールならばまだいい。

彼らは力が強いだけで知能は低く、動きも鈍い。

一体二体ならば、ほんの数発撃てば容易く事切れてくれる。

しかし吸血鬼が相手だと話は別だ。

人間よりも素早く、力はゾンビやグール並み、耐久力や生命力に優れ、時には変化や幻術を使って翻弄してくる。

人類には十分な脅威と言える能力の持ち主だった。

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