黒十字、邪悪なり
吸血鬼一人相手に苦戦するセシル達を見ながら。

「……」

邪悪は立ち止まり、呆れたように侮蔑の眼差しを向ける。

「何をやっているんだ貴様らは。それしきの雑魚相手に、いつまでじゃれている」

「っっっ…」

邪悪の物言いに憤るセシル。

化け物の物差しで、言ってほしくない。

こちらは超常的な能力など何も持たない人間なのだ。

撃たれても死なず、頭を潰されても再生し、心臓を貫かれても甦る化け物から見れば、そりゃあこんな吸血鬼でも雑魚だろうが。

「それしきの力で、この俺を殺すつもりだったのか?笑わせる」

嘲笑う邪悪に、セシルがキレる。

牙を剥いて襲いかかって来る吸血鬼。

「おぉおおぉおぁあぁあぁっ!」

セシルはその口にゾロターンカスタムの砲口を捻じ込み、口腔内に弾丸を撃ち込む!

30ミリ神聖弾が炸裂し、吸血鬼の頭を粉々に吹き飛ばす!

壁一面に肉片と血飛沫がこびり付いた。

そんな凄惨な現場を作り出し。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

セシルは呼吸を乱しながら邪悪を睨んだ。

「さっさと行きなさい…元凶の下へ…」

< 144 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop