黒十字、邪悪なり
その後も現れ出るアンデッド達と交戦しながら、セシル達は邪悪の後を追う。

残弾数が心配だったが、弾薬の出し惜しみをしていられる状況ではない。

アンデッドは際限なく彼らの前に現れ、生者の新鮮な血肉を食らおうと襲い掛かってくる。

この場において、セシル達は『少数派』であり『食糧』でしかない。

この都市の住人は、いまや人間ではなくアンデッドの方なのだ。

人間の都市ではなく、亡者の都。

そんな中を、セシル達は走る。

…邪悪はそれが、楽しくてならなかった。

まだ希望を捨てないか。

まだ生きる事を諦めないか。

いいぞ、非常にいい。

そうやっていつまでも生に執着しろ。

しぶとく生き残ろうと足掻き、もがけ。

真に絶望し、生きる事を諦めた時の表情が、より甘美なものとなる…!

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