黒十字、邪悪なり
終わりのないマラソン。

ゴールが見えない、距離も知らされていないレース。

出口が見えるから、トンネルの暗闇でも耐えられる。

ならば光差す出口が見えない、永遠の暗闇だと人間はどうなるのか。

明けぬ夜だと知らされたら、人間はどうなるのか。

ましてや明けても、更に暗い闇が待っているとしたら人間はどうなるのか。

邪悪を追って走り続け、もう膝も上がらなくなってきていたセシル。

彼女に。

「見ろ!セシル兵曹長!」

マーフィが声を上げる。

見れば邪悪の背中のその先に、扉が見えた。

屋上へと通じる鉄扉。

長い長いバベルの塔の頂点。

遂に彼らは、超高層ビルの屋上に到達したのだ。

邪悪が、扉に手をかけ、開く。

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