黒十字、邪悪なり
驚いた。

セシル自身の体重よりも遥かに重いゾロターンカスタムの砲身。

今までは構えるのも一苦労という重さだった。

早撃ちなど、絶対に向かない火器。

それを今のセシルは、片手で軽々と構えた。

まるで片手拳銃のように。

そしてトリガーを引く!

発射される30ミリ神聖弾。

砲弾は真っ直ぐに飛翔し。

「ぬっ!」

ベナルの放った鎖と、尖端同士激突する!

ゾロターンカスタムを片手で構える怪力、ベナルよりも遅れて撃ったにもかかわらず相殺に持ち込む反射速度。

どちらも人間業とは思えない。

これが眷属の能力。

これが化け物の力!

「続けて第二射、第三射開始!」

「 Yes, sir!」

邪悪の命令に、セシルは迷わず従った。

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