黒十字、邪悪なり
それすら気にせず、修道服の男は、光明街の奥へ、奥へ。

やがて娼婦さえ立っていない、昼尚暗い光明街の最深部近くへと到達する。

何だろう、饐えた臭いがする。

何か生ものが傷んだような、鼻を突く異臭。

耳を欹てれば、咀嚼音も聞こえた。

薄暗く、はっきりと目視で確認できた訳ではないが。

その異臭に混じって漂う、強い鉄錆のような臭い。

それが比較的新しい、血の臭いだと気付いた時にはもう遅く。

修道服の男目掛けて、暗がりから一体のゾンビが襲いかかり!

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