黒十字、邪悪なり

すかさず鍼を両手に逆手持ちするヨセフ。

「どこの手の者だ？黒十字 邪悪か？ベナル・ヨアキム・シュターセンか？」

「えっ！」

あっさり自身の素性がバレてしまった事に、金髪の女性…セシルは動揺した。

「洗礼名や、呪いや魔術対策の事を、一般人が知っている筈がない。例えこの魔窟の住人であろうともな。早速俺がこの都市に侵入した事を嗅ぎ付けたか」

鍼を構えるヨセフ。

しかし間の抜けた化け物だ。

己の素性が知れる発言を不用意に口にするとは。

「日本カトリック教会大阪教会管区広島司教区の祓魔師、ヨセフだ…神の加護の下に、神に逆らう化け物を、毛筋一本残さず滅殺する」