黒十字、邪悪なり
「ああ知っているとも」

ベナルは頷く。

「かつての十字軍の遠征の際にも、幾度となく祓魔師と交えた経験がある。カトリックのみが唯一無二と驕る、鼻持ちならん連中だったよ」

十字軍とは、中世に西ヨーロッパのキリスト教、主にカトリック教会の諸国が、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還する事を目的に派遣した遠征軍の事である。

一般には、キリスト教による対イスラーム遠征軍を指すが、キリスト教の異端に対する遠征軍(アルビジョア十字軍)などにも十字軍の名称は使われている。

そして異端とは他の宗教のみならず、神や人間そのものの敵…化け物もその対象であった。

そういった化け物達には、普通の人間では太刀打ちできない為、十字軍の中には極秘裏に祓魔師達も同行していたのだ。

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