黒十字、邪悪なり
確かに、セシルの言葉にも一理はある。

祓魔師としての腕前に自信がない訳ではないが、ベナル・ヨアキム・シュターセンの実力は本物だ。

流石に『不死の王(デミリッチ)』と呼ばれるだけの事はある。

頭と心臓を潰しても死なないとは、ヨセフの想像を絶する化け物だ。

それだけに一人では厳しい。

この際化け物だろうと、使える者は何でも利用して戦わなけれはならない。

いざとなればセシルを盾にして、ベナルの隙を突けばいい。

何を勘違いして仲間意識など持っているのか知らないが、ヨセフにとっては元人間だろうと何だろうと、セシルは『化け物』であり『神敵』だ。

微塵の情け容赦もかけてやる必要はなかった。

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