黒十字、邪悪なり
「いいだろう」

ヨセフは頷く。

「どうやらお前もベナルとは敵対関係のようだ。共通の敵を駆逐する間だけという条件で、お前の命は見逃してやる」

「協力してくれるの?助かるよ、有り難う!」

ヨセフの思惑も知らず、セシルは素直に喜ぶ。

化け物の癖にお人好しというか、考え無しというか。

「それじゃあとりあえず…」

胸に刺さった鍼を引き抜いて顔を顰めつつ、セシルは考える。

「下層部にいてもベナルの的になるだけだね…上に向かおうよ。少しでもベナルとの距離を置かないと」

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