黒十字、邪悪なり
共に戦闘で体力を消耗している。

今はベナルをすぐに迎え撃つ事はせず、疲弊した肉体を休ませる事が先決だろう。

「わかった。ならば上の階に行こう」

近くにあった階段を昇ろうとして。

「こっちだよ」

セシルは別の階段を下っていく。

「…上の階に向かうんじゃないのか」

階段を下ってしまうと、地下に下りてしまうではないか。

「そっちの階段は行き止まりになってるの。この九龍都市は迷路みたいな構造だからね。上を向かう為にと思って考え無しに昇っていると、予想外の場所に辿り着いちゃう事があるから。上に向かう為に、敢えて階段を下らなきゃいけない事もあるの。それに」

セシルは振り向いた。

「地下に下りてしまうって思ってたみたいだけど…ここは地上3階だよ」

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