黒十字、邪悪なり
「ですが…」

事務次官とは対照的に、対策局長は落ち着いている。

「怪異駆逐対策局とはいえ、武器弾薬がなければ化け物の駆逐は出来ません。特に化け物は、通常弾では傷一つ付けられない。神の祝福と加護を受けた法儀式済の弾薬を使用しなければ…」

「例の神聖弾丸という奴か」

背凭れに体を預ける事務次官。

急に語気が弱まった。

「あれは…本当にあの弾薬でなければならんのか。普通の弾丸よりも随分と値が張るじゃないか。予算とて限られている。厚生労働省そのものが傾くぞ」

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