黒十字、邪悪なり
インバネスコートの内側に手を入れる邪悪。

その手が引き出したのは、白銀の大型拳銃サルガタナス。

「ゾンビやグールや吸血鬼を始末した程度でいい気になっていたのなら、その身の程という奴を分からせてやるぞ、祓魔師。貴様がこれまでに相手してきた下級の化け物との格の違いという奴を、しっかりとその身に思い知らせてやる」

銃口が、ヨセフに向けられる。

果たしてそれは、銃口と言っていいものか。

こんな大きな銃口から放たれるのが、果たして弾丸と呼べるのか。

最早砲弾に近い大きさだ。

一発でも食らえば、人間の体など即座に破壊されてしまう。

「貴様の大好きな神に祈るんだな」

邪悪の人差し指が、トリガーにかかる。

< 268 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop