黒十字、邪悪なり
その瞬間!

「!!!!!」

ヨセフの放った無数の鍼が、サルガタナスを握る邪悪の右腕を貫いた!

指、手の甲、手首、肘、二の腕、肩に至るまで満遍無く。

神経や腱や骨や関節に至るまで徹底的に。

腕一本が完全に破壊されるには十分すぎる数の鍼。

「ふ…ふざけるなよ化け物…!」

まだ恐怖に声は震える。

しかしそれでも、ヨセフは鍼を逆手に握ったまま言った。

「10年前の大災厄で死んだ家族の仇…数多くの人々の仇…ここで俺が討たずして、誰が討つ?身の程?そんなもの知るか!」

ヨセフは吠えた。

「我が主は祈る為ではなく、その名の下に化け物どもを駆逐する為に存在する!」

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