黒十字、邪悪なり
「はぁぁぁぁあぁぁあぁぁっ!」

裂帛の気合いと共に、ヨセフは鍼を投擲した!

蟻の這い出る隙間もないほどの、鍼の弾幕。

回避行動すらせず、邪悪は真っ向からこの弾幕を受けるが。

「っっっっ」

ヨセフの両手に握られた聖釘の斬撃のみは、大きく余裕をとって躱した。

法儀式済弾丸でも、銀製の鍼でも避けなかった邪悪が、たかが人間の放った斬撃を恐れるように。

確信は更に強まる。

「邪悪、貴様とてこの聖釘の聖性には敵わない」

ヨセフは聖釘を逆手持ちに構える。

「貴様は強い。確かに強い。如何なる攻撃にも祓魔術にも屈せず、あまつさえ破壊された肉体すら再生させる。神を冒涜する、死を捻じ曲げた存在。だが」

再び放たれる、鍼の弾幕!

「神はそれをお赦しにはならないっっっっ!」

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