黒十字、邪悪なり
ヨセフの手当てを始めるセシルを視界の端に置きながら。

「それは、むかしむかしのお話」

ベナルは語り始めた。

「高い高い空…雲の上に、一人の天使がいました。天使は人間を守り、導く為に尽力していましたが、戦争や殺し合い、略奪や謀略を繰り返す愚かな人間に失望し、ある日人類を見限り、堕天使となってしまいます」

「舌がよく回るなベナル」

二挺拳銃を向けるなり、ベナルの頭部を乱射で吹き飛ばす邪悪!

しかしベナルは瞬時にして頭の下半分を再生させ、口元だけの奇怪な状態で語り続ける。

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