黒十字、邪悪なり
「堕天使となり、魔界に堕ちた彼は、暗い暗い闇の底でめきめきと頭角をあらわします。40もの軍団を率いる強壮な大公爵となり、地獄の皇帝、君主と並ぶ支配者の一人にまで上り詰めました。8人の下位君主と総称される有力者の一人とも言われ、その存在は知らぬ者がないとまで言われるようになりました」

撃っても撃っても再生し、語る事をやめない。

遂には邪悪の射撃にも負ける事なく。

「魔界に堕ちた堕天使…その正体は支配者階級に位置する悪魔アスタロト。『ジャーク ・ブラッククロス』の名で海の向こうでも知られ、この世界では『黒十字 邪悪』と呼ばれる高位の化け物だったのです」

ベナルは核心に触れた。

「えっ…」

ヨセフを手当てしていたセシルが顔を上げる。

アスタロト。

少し悪魔学に知識がある者ならば、誰でも知っている高名な悪魔だ。

それが邪悪の正体。

< 287 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop