黒十字、邪悪なり
左拳は邪悪の脇腹を貫通している。

その腹の中で拳を広げ、邪悪の臓物を掻き回すベナル。

体の中から邪悪を破壊するつもりか。

だが。

「こそばゆいぜ、ベナル」

邪悪は大きく口を開き、ベナルの頸動脈を噛み千切る!

噴き出す腐敗した血液。

悪臭が周囲を包む。

「おらぁあぁぁあぁあぁっ!」

ベナルは邪悪の内臓を鷲摑みにし、傷口から引き摺り出した!

激しく零れ落ちる血と共に、ベシャリと床に落ちる邪悪の臓腑。

それすら意に介さず。

「散らかすんじゃねぇよ」

邪悪はベナルの頸動脈の傷口を押し広げるようにして右手を突っ込み、そこから彼の脊髄を摑み取って引き摺り出す!

「はみ出た内臓片付けるのに手間取るだろうが」

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