黒十字、邪悪なり
「どうやったら殺せるかなんて、どうでもいいじゃねぇか」

実に嬉しそうに。

周囲で人外の者どもが殺戮の真っ只中、ベナルは嬉々として笑った。

「そんなもん殺し合ってたら、何れは分かるかもしれねぇ。闘争だよ。今はただ闘争と殺戮を愉しむんだよ。殺し方なんて後からついて来る。その過程が愉しいんじゃねぇか」

それは、正常な人間から見れば狂っているとしか思えぬ発言。

殺す為に殺し合っているのではない。

『ただ愉しいから殺し合っているだけ』

憎悪もなく、怨恨もなく、何か理由がある訳ではなく、殺す為ではなく。

殺し合いという行為を愉悦の為に行う。

何処までも鬼畜。

吐き気を催すほどに外道。

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