黒十字、邪悪なり
「全てはそう、振り出しに戻る」

ニヤリと。

邪悪は笑った。

勝てぬ。

この化け物には誰にも勝てぬ。

この化け物の前に立った瞬間に、敗北は決している。

二挺拳銃で撃ち合い、肉体を損壊させ、頭を、心臓を潰した所で、この化け物にとっては全て戯れに過ぎないのだ。

肉体を損壊させる事の、何が戦いか。

全ては一瞬にして決する。

彼にかかれば、世界全てが敵にまわっても敵ではなくなる。

存在さえもが消されてしまう。

彼は世界の創造と滅亡さえも左右する。

何度でも歴史を繰り返し、修正させる。

まるで神のように。

まるで魔王のように。

< 308 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop