黒十字、邪悪なり
和やかな空気が流れるキャンプ・シュワブ

しかし、その和やかな空気を。

「セシル・カイル兵曹長だな」

一人の男の声が掻き消した。

「厚生労働省怪異駆逐対策局の者だ」

「…存じ上げております」

セシルはすぐに表情を引き締め、敬礼した。

「対策局長殿ですね?」

「知っているならば話は早い」

対策局長は、中指で眼鏡を押し上げた。

< 37 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop