黒十字、邪悪なり
と、その時だった。

『なかなかいい読みだな、お嬢ちゃん』

「!?」

セシルと対策局長の通話に、突然別の声が割り込んできた。

渋くダンディな、特徴のある声色。

しかしその声は、何処かセシルと対策局長を嘲笑う色を感じさせる。

「対策局長、誰か同席させているんですかっ?」

『知らん!私は局長室から電話しているのだ、私の他には誰もいない!』

狼狽するセシルと対策局長。

周囲に誰もいないのは、セシルとて同じだった。

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