黒十字、邪悪なり
うろたえるセシルと対策局長を他所に、その声の主は自分勝手に語る。

『だが…化け物には、人間には理解できぬ能力や思考、習性、習癖がある。そして化け物には化け物だけの世界もな…現場百回?ハッ、笑わせる。無駄足を踏んだ所で、貴様ら如きに俺は理解出来はせんよ』

その場にいないにもかかわらず、声だけが電話に割り込んでくる。

どういった手品なのか。

姿形を見せず、セシルと対策局長を翻弄する声。

しかし、それが誰なのかだけは、二人にはすぐに分かった。

「お前が…黒十字 邪悪ね?」

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