黒十字、邪悪なり
「何をよそ見している?」

自分のような上位の化け物を目の前にしながら、余裕で視線を逸らす。

邪悪のそんな態度に苛立ちを覚える吸血鬼。

「この私の縄張りに踏み入っておきながら、そんな無礼な態度は…」

「貴様の縄張り?」

吸血鬼の言葉に割って入るや否や。

「っ!?」

邪悪は吸血鬼の片腕をネヴィロスの発砲で吹き飛ばした!

「貴様の都合など知った事か、下等化け物(フリークス)が。貴様こそ俺の通り道を邪魔するから、こういう目に遭う」

言いながら、邪悪は二挺拳銃を次々発砲する。

腕、足、脇腹、胸、片目。

サルガタナスとネヴィロスから撃ち出される弾丸が命中する度に、拳大の風穴が穿たれていく。

拳銃でありながら、セシルのゲパードM6カスタム並みの威力だ。

吸血鬼の肉体が、まるで削り取られるように欠損していく。

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