黒十字、邪悪なり
跪く邪悪。

肩越しに、振り向く。

…そこには化け物が立っていた。

全身に鉄杭や拘束具、鎖などが突き刺さったままになっており、肉体は朽ち果て、腐乱臭を発している化け物。

火炙りにでもされたのか全身爛れ、胸には乱雑に荒縄で縫合され、血が滲んだ痕さえある。

普通の人間ならば、とうの昔に死んでいる傷だ。

そんな傷を受けながら、邪悪の腹を貫くほどの怪力を発揮する辺り、化け物以外の何物でもなかった。

「久しいな…ベナル・ヨアキム・シュターセン…やはりゾンビやグール、吸血鬼発生の元凶は貴様だったか…」

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