黒十字、邪悪なり
途端に。

「うぐぅっ!」

邪悪の右腕が、右足が。

セシルの射撃によって吹き飛ばされる。

排莢された30ミリ神聖弾が、ガラン!と大きな音を立てて地面に落ちた。

射撃といいつつ、その威力は機関砲の砲撃だ。

「ヘラヘラ笑うんじゃない、化け物。癇に障る」

「……」

巨大な砲口を向けられ、邪悪の顔から笑みが消えた。

華奢なセシルの体で、よくあんな巨大な砲を構えていられる。

銃身長など、セシル自身よりも大きいだろうに。

立射している事自体が奇蹟に等しい。

どれだけの肉体強化を繰り返したのか。

あのゾロターンカスタムを使いこなす為に、この短期間で血の滲むようにトレーニングを重ねたのだろう。

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