恋の治療は腕の中で
11月17日、私の誕生日まであと1週間。
特に聞かれることもなかったので多分悠文は知らないと思う。
もうここ何年も誕生日を誰かに祝って貰った事はない。
小さい頃友達の誕生会にお呼ばれされた時そのお友達がお父さんとお母さんにプレゼントを貰ったりケーキの上のろうそくを一緒に吹き消したりする姿をみて心の底から羨ましいと思った。
まだ子供だった私は家に帰ってお父さんになんで私はお母さんからプレゼント貰えないのと泣きながら訴えてお父さんを困らせたことを覚えている。
そんな事があったせいか特に誰かに祝ってもらいたいと思わなくなっていった。
「紗和さん、来週の27日って何か予定ありますか?」
えっ、驚いた私は
「特に何もないよ。」
その日は私の誕生日、心奈が知ってるはずないんだから偶然なんだろうな。
「何で?」
「ちょっと秋物を買いに行きたいんですけど、悩んでて紗和さんに見てもらいたいんです。」
あ~そう言うことね。
「うん、いいよ。
ちょうど休みだしね。
どうせなら瑞季も誘う?」
「いやっ、瑞季さんは何か予定があるみたいです。」
そうなんだ、それじゃ仕方ないね。