恋の治療は腕の中で
医院長の思い
年も開け今日から仕事が始まる。

医院長には新年の挨拶を兼ねて近々結婚をすことを報告をした。まだ挙式の日取りは決めないけど、医院長はまるで自分の事のように喜んでくれた。

もし、お父さんやお母さんが生きてたらこんな風に喜んでくれたのかな?

私にはもうそんな風に喜んでくれる人はいないけど、悠文には……。

結婚すると決めてから私は幾度となくその事を考えていた。

出来れば悠文のお父さんにもお兄さんにも私達の結婚を認めて欲しい。でもそんなこと悠文にはまだ言えない。




「どうしたの?」

「ううん、ちょっと考え事してた。」

「それで、藤堂先生から貰った指輪わ?」

瑞季にしては珍しく自分から悠文との事を聞いてきた。

「これなんだ。」

私は白衣の下からゴソゴソとネックレスのチェーンを引き出して通してある指輪を見せる。


「やだー、紗和ったら。

こんな所に隠し持ってたの。」


「だって、仕方ないじゃない。

まさかこれして仕事できないもん。」


「まあね。結婚指輪なら出来るだろうけどね。」

なんて言いながら早く結婚しちゃえ!だって。


「瑞季って悠文のこと反対してなかったっけ?」


「あ~。そんな事もあったね。

でも今は認めてるよ。

だから、早く幸せになりな。」



「ありがとう。」

瑞季が親友で本当によかった。
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