恋の治療は腕の中で
バタバタバタ


「た、大変です!」


心奈が慌ててスタッフルームに入ってきた。


「い、今。電話で医院長が倒れたって!

聖路加国際病院から連絡がきたんです。」


「それで!医院長の容態わ?」


「それがまだ救急車で運ばれたばかりらしくて詳しいことは何も分からないんです。」


「紗和さん、どうしましょう。」

どうしましょうって言われても。どうしたら……。


「紗和!しっかりして!

とにかく藤堂先生に電話してみたら。」

悠文、 そうだ悠文!


電話をしようとプッシュボタンを押そうとしても手が震えて思うようにボタンが押せない。


落ち着かなきゃ。

深呼吸をしてからゆっくりとボタンを押す。


お願い早くでて!


「もしもし、紗和?」


「悠文!

医院長が……。」


そのあとの言葉が出てこない。


「紗和!

どうしたんだ!医院長がどうした。」


「すみません。山本です。

紗和が話せる状態にないので代わりに私が話します。」

「あ、あ~。頼む。」

「先ほど医院長が倒れたと聖路加病院から連絡がきました。

まだ病状など詳しいことは分からないです。

それで、どうしたらいいか連絡しました。」


「分かった。今すぐそっちに行く。

紗和のこと頼んでいいかな?」


「はい。任せてください。」
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