恋の治療は腕の中で
「私、本当に悠文と結婚したいと思ってるよ。でも、出来れば皆に祝福して結婚したい。

それが例え絶縁状態の家族だとしても。

だって、もう私には悠文と悠文の家族しか身内と呼べる人はいないから。」

悠文は暫く何も言わなかった。

悠文!お願い何か言って。





「そんな風に考えてたんだな。

でも、こればっかりは紗和の頼みでも聞けない。
俺はどうしても母親を見殺しにした親父が許せないんだ。」

悠文の優しい顔はすっと消え今まで見たことのない無表情な顔になった。

ビクッ

「ごめん、紗和。

もし、どうしてもって言うんなら俺結婚止めるわ。」


そう言い残して悠文は寝室へと行ってしまった。


「悠文!お願い待って!」
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