恋の治療は腕の中で
「医院長?

今、何て言いました?」


「うん?

だから、藤堂先生と紗和ちゃんでこの病院を継いで欲しいって。」



「それって、つまり。

どういうことでしょう?」


まったく、意味がわからない。

藤堂先生と私がこの医院を継ぐ?

何故?



「そんなの、結婚して二人でやっていくってことに決まってるじゃないか。」

余りに突然の無茶振りに暫く脳が思考を停止する。


結婚?私と藤堂先生が……、

いやいや、

医院長、あなたは明るく仰いますけど、自分が何いってるんだか分かってます?


「いやいや、お互いのことよく知りませんし。

その前に、何とも思ってないですから。」


「それなら、これから知っていけばいいんだよ。

それに、藤堂先生ってかなりのイケメンだと思わない?」

「イケメンって。」

まあ確かに。

それに知っていけば。って別に知りたくもないんですけど。


「そうだな。

先ずは、藤堂先生の歓迎会をやろう。」


「明日、早速皆に聞いてみないと。」

いやいや、勝手に話し進めないで下さい。
何楽しそうに言ってるんですか。

それから私がいくらそんな気はないと訴えても医院長は全然聞く耳を持ってくれなかった。


私は楽しみにしていたデザートの味を全く覚えていたかった。

私のザッハトルテが~!
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