恋の治療は腕の中で
結局夕飯は、鍋にした。

食材を買う時も悠文は、昨日コンビニ弁当だったから野菜が食べたいだの寒い日に1人で食べる食事は余計に寒く感じる。なんて本当に意地悪なんだから。



「はー、二人で食べるご飯は美味しいなぁー。」


まだ言うか。

「昨日は、ごめんなさい。」


「何?紗和は俺に謝るような事したの?」

「いやー、したようなしてないような……。」


「なんだよそれ。」

ソファーに座っていた悠文は私の腕を引っ張って自分の膝の上に私を乗せる。

「それで、話す気になった?」


低くて優しい声で耳元に囁く。


「悠文にお願いがあるの。」


「お願い?」


「うん。

私に悠文のお父さんとお兄さんを会わせて欲しいの。」

「はぁー、何言い出すのかと思ったら。何で会いたいんだよ。」


「私にはもう私達の結婚を祝ってくれる肉親はいないじゃない?だからせめて悠文の肉親には私達の結婚を祝って欲しいの。

ううん、別に祝って貰わなくても構わないただ会ってちゃんと報告だけでもしたいの。」


「あんなの身内でもなんでもないだろ。お袋を見捨て奴等だぞ。」


「それでも! それでも、悠文がこの世に産まれてきたのはお父さんがいたからじゃない。お父さんが居なかったら悠文はここにいなくて私は悠文と出会うことができなかったんだよ!」


「親父達に会えば気が済むんだな。」


「う、うん。」


「分かった。


俺シャワー浴びてくるわ。」


悠文……。
< 147 / 163 >

この作品をシェア

pagetop