恋の治療は腕の中で
「こほん。

親父はまだみたいだな。

先に入って待ってよう。」

家に入るとこれでもかと言うくらい大きな玄関で私は1人目をまるくしてると、

あっ!

アンティークの家具の上に白いダリアの花が飾られていた。


部屋に入ると暖炉には既に火がくべられていた。そして白い家具の上にも紫のダリアが飾られていた。

ここにもあるんだ。


「お待ちしておりました。」


「あ~。多岐さん、お世話になります。」


トシは60才位だろうかとても優しそうに笑う多岐さんは、悠文を見て驚いた顔をした。

「は る ふ みぼっちゃまですか……?」


「ぼっちゃまは止めてくれませんか。多岐さん。」


「ぼっちゃま!大きくなられて。さぞやご立派になられたんでしょうね。」


多岐さんは、目頭を押さえながら何度も頷いていた。

「多岐さん、こちらは悠文のフィアンセの望月 紗和さん。」

「初めまして。

お世話になります。」


「まー!悠文ぼっちゃまにこんな素敵な方が。」


えっとー、これはデジャブですか?

また隣で笑いを堪えてるんですけど。

「彼女は知ってるよね。麗香だ。」


「はい、もちろんですとも。よく隆文さんとお小さい頃一緒にいらしてましたから。」


< 149 / 163 >

この作品をシェア

pagetop