恋の治療は腕の中で
私達は多岐さんに部屋に案内された。


私と悠文は2階の階段を上がって直ぐの部屋に通された。隆文さん達は、その隣の部屋。

まず、入って一番に目についたのは机の上に飾られたピンクのダリアの花だった。

荷物を置いてベッドに腰を下ろすと、悠文が意地悪そうな顔をして隣に座った。

「俺の素敵なフィアンセかぁー。」

「な、何よ!

どうせ私は、素朴なフィアンセですよ。」


プップー


だから悠文笑いすぎ。

でも久しぶりに悠文のそんな顔見た気がする。お父さん達に会いたいって言ってから表情を表に出さなかったよね。

「ごめん、ごめん。

許してくれよ。

なっ?」

悠文は右手を私の首に当ててそっとキスをした。

そのキスが余りに優しくて一瞬私の頭がクラッとする。

久しぶりに触れてくれた悠文の唇。


「おい、紗和。キスでいくなよ。」

「だ、誰が!」


「お楽しみは後でな。」
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